マネキンの姿勢について

デパートでウィンドウショッピングをしていると、衣服よりも妙に気になる存在がいる。マネキンだ。あの人(と言っていいのかわからないけど)たちは、あまりまともなポーズを取ろうとしない。

両側から迫り来る壁を止めるように両腕を真横に伸ばしているマネキンや、カウボーイがピストルを放つ瞬間のように背中を後ろに沿った姿勢をとるマネキンがいる。

なかなかふだんの暮らしで、そういうアバンギャルドな前衛的なポーズをとる人は少ないんじゃないかと思うんだけど、そんなことはないのかな。アパレル業界の人たちは、あの変わったポーズをわりと普通にとるのかもしれない。

あるいは、洋服を、より美しく、よりしなやかに見せるために、ああいうダイナミックな動きのあるポーズをとっているのかもしれない。

しかし、僕なんかは、ふつうに「気をつけ」や「休め」をしているポーズや、歩いている姿勢の方が、参考になると思うんだけど、それだといけないのかなあ(もちろん、ふつうに立っているマネキンもちゃんとありますが)。

あのポーズはいったい誰が考えているんでしょうね。アパレル会社の企画部隊が考えに考え抜いて、服がもっとも映えるポーズを生み出しているのかしらん。企画するときも、みんな、変わったポーズを取りながら、新しい画期的なポーズを生み出しているのかな。

まあ、ポーズについて、とくに一家言あるわけじゃないんです。なんだか妙に気になって、おかしな姿勢をとったマネキンを見つけたりすると、吹き出してしまうことがあって。マネキンのポーズ集なんていう写真集があったら、なかなかキョーミ深い本になりそうです。少なくとも、手にとって、中身をパラパラとめくってみたくなります。