愛の告白

えんえんと長く降りつづく梅雨のようにホテル暮らしが続いている。来る日も来る日も、朝起きたら仕事に出かけ、終わるとホテルに戻ってくる。こうした生活の中で唯一と言ってもいい楽しみは食事になるはずなんだけど、会社から外食禁止令が発令されているために毎食お弁当で済ませなければならなかった。

出張当初は、こうした非日常生活も、たまには悪くないと思えたが、コロナ禍のいま、空いた時間にどこか観光に出かけることができるわけではなく、地元の名産を味わえるわけでもなく、終わりのないキャッチボールのように、ただただホテルと仕事場の往復なので、二、三日も経ってくると早く自宅に帰りたいなあと思うようになっていた。

しかし、この空疎で渇いた出張生活の中で「これは好きだな」と楽しみにしていることの一つがコインランドリーです。数日分の溜まった衣服をホテルの近くにあるコインランドリーに持ち運び、大型のドラム式の洗濯乾燥機にほいっと放り込み、50分ほど時間を潰すと、まるでできたてほかほかの肉まんを提供されたように、ふっくらしたあたたかな衣服が出来上がっている。

冷え切った雑巾のような衣服が、洗濯乾燥機の重厚なドアを開けると、窯で焼いたピザのようにほくほくに生まれ変わって僕の前に現れる。そっと手を触れたときのさわり心地は抜群で顔にぎゅっと埋めても気持ちがいい。なんとも言えない至福が胸に押し寄せ、無味乾燥化しているホテル生活にささやかな潤いをもたらしてくれるこの瞬間が僕はとても好きになっています。