姿勢は伝染する。

何十キロもの距離を走り、見上げるほど長い階段を何往復もし、ジムに戻ってひたすらミットを打ち、それからサンドバックに全力で拳を放ち、シャドーをし、筋肉トレーニングを行い、また走りに行く。大事な一戦に向けて、血反吐が出るくらい体を追い込むプロボクサーの姿を見ると、心を打たれて、自分もがんばろう、という気持ちが湧いてくる。

ラッセル・ウェストブルックというNBAプレイヤーがいる。彼は、その日の試合がまるで人生最後の試合のように、燃え尽きて灰になってしまうかのように一試合、一試合、望んでいる。命を削っていると思えてならない気迫のこもったプレーを観客に見せてくれる。そういう魂のこもった姿を見ていると、なんだか感傷的になるし、自分の心に火がボッとつくことがある。

ももいろクローバーZも鼓舞されるときがある。僕はライブに足を運んだことはないけれど、YouTubeで彼女たちのライブ映像を見ているだけでも、全身全霊で、魂を込めて歌って踊って大勢の観客を楽しませようとする姿を見ていると、画面越しにエネルギーをもらって、自分もやるぞ、という気持ちが心の底からぶくぶくと湧き出てくる。

同じように、友人や同僚のがんばっている姿を見ると、その姿勢に感化され、僕の気力も湧いてくる。「がんばれ」と言葉で言われるよりも、がんばれる気がする。だから、というわけでもないけれど、近くにいる誰かを応援したいとき、「がんばれよ」と声をかけるのもいい。でも、自分のがんばる姿を見せることが何よりのエールになるかもしれない。きっと、言葉より伝えることができるはず。姿勢というのは伝染する力があると思うのだ。