バレンタインのチョコは苦い。

チョコレートといえば、甘いお菓子である。疲れ切った体や頭から煙が出るくらい考えた脳味噌に甘い糖分を届けるお菓子である。しかし、そんなスイーツな世界に人々を誘うチョコも苦くなる日がある。バレンタインだ。この日ばかりは、甘くておいしいなんて言ってられないときがある。女友達や職場の女性陣から義理としてもらうチョコはべつに苦くない。ちゃんと甘くておいしい。打ち合わせで、ついでにどうぞ、という感じていただくチロルチョコだって、じゅうぶんに甘い。

だが、思いを寄せる人からもらう義理チョコは甘くない。そこにはちょっぴり苦みがある。もらって嬉しいことにかわりはないが、切なさがある。さらに言えば、本命チョコを他の男に用意している中での義理チョコほど苦しいものはない。この世の終わりである、といったら言い過ぎでしょうか。まあ、そのくらい落ち込む事件だ。甘い、なんて感じていられない。むしろ、甘酸っぱい。

振り返ってみると、バレンタインに身も心も舞い上がるような甘い思い出はない。苦い思い出ばかりである。そうなのだ、バレンタインのチョコは苦いのだ。

今週のお題「わたしとバレンタインデー」。