アイスミルクではなかったですか?

冬の寒い朝、カフェに入って「ホットミルク」を注文した。ほとんど待たないうちに店員さんは僕が頼んだドリンクを提供してくれた。しかし、その中身は「ブレンドコーヒー」だった。

おかしいなことが起きてると僕は思った。まちがいなくホットミルクと言ったはずだし、代金もホットミルク代を支払ったはずだ。このままコーヒーを受け取ろうともしたが、とはいえホットミルクを飲みたかったので、「ホットミルクを頼んだんですが…」と小声で指摘したら、「アイスミルクではなかったですか? 失礼しました」とその女性店員さんは申し訳なさそうに謝った。

いや、ちょっと待ってくれ。アイスミルクでもない。よし、わかった。百歩譲って(別に譲らなくてもいいですが)仮にアイスミルクだとしましょう。ただ、アイスミルクだとしても、お姉さんが提供してくれたのはブレンドコーヒーですぞ。

そのまちがいの積み重ねに僕は小さく笑ってしまった。おそらくお姉さんも気づいたのだろう。恥ずかしさと申し訳なさを含んだ笑みを僕に投げた。

冬の冷えた日曜日の朝が少しだけ微笑ましくなった。寒いから家にこもってぬくぬくしてようかと思ったけれど、外に出てみると、こういう微笑みの事件が待っていることもある。